彼に会いに行くときは遠くからでも直ぐに分かる。その姿は凛とした空気を作り出しているから。黒鹿の美しい馬だ。

『日本ダービー・勝利への切符』
この名前の馬に騎乗が決まった時、柴田政人は運命を感じたのではないだろうか。彼は長い騎手生活の中で日本ダービーだけはどうしても手に入れる事が出来なかった。日本ダービー、その栄光は競馬界最高の栄誉でもある。この舞台に立てるのは18頭、精鋭たちが織りなすドラマがそこにある。
「日本ダービーをとったらやめてもいい」との決意で第60回日本ダービー 距離2400mに挑んだ。
第四コーナーを回り、最後の直線をウイニングチケットは先頭で駆けてきた。激しく迫るのはビワハヤヒデ。
後に柴田騎手はVTRを振り返って「鞭を打つ姿が鬼のようだった」と言っている。末脚を振り絞り、ビヤハヤヒデを半馬身交わしてコールへと飛び込んできた。それはまさしくウイニングチケットを手に入れた瞬間だった。

ウイニングチケット  黒鹿
1993年 日本ダービー制覇
翌年の天皇賞のレース中に故障発生、引退。
(1990-)